このような悩みの方に効果的
- かゆみ、炎症をとりあえず一時的に抑えたい方
- 仕事の都合などあり、とりあえず症状をいったん抑え、コントロールする必要がある方
ステロイド外用薬とは
炎症を早く抑えることのできる外用薬です。ただ副作用として「骨粗鬆症」「胃潰瘍」「十二指腸潰瘍」「白内障」「小児期における成長障害」「高血圧」「糖尿病」「易感染性」などがあり、使用に注意する必要があることも分かってきました。さらに長期、大量に連続して使用した場合、患者の副腎機能が抑制され、急に中止するとリバウンドをおこす危険性があることも分かってきました。
皮膚科学会では、「アトピー性皮膚炎の治療に際して、ステロイド外用剤は最も重要な外用剤である。本剤のすぐれた有効性、有用性を正しく評価して、副作用を正確に把握し、正しい使用法に精通すべきである」「アトピー性皮膚炎の治療ではなるべくスキンケアでコントロールするように努力し、それで改善されないと判断されたときに、一時的に使うのがステロイドの上手な使用法である」と提唱されています。
ステロイド外用剤に対する皮膚科医のスタンス
(笹川和信 1995. J.J.OCD NO44から引用)
脱ステロイド派
- 【長所】
- ステロイドの副作用がない、時間がかかるが症状が安定、医療訴訟のリスクはない、自然治癒の可能性がある
- 【短所】
- 長期間忍耐が必要、社会生活に支障、全症例に有効か不明、リバウンドが苦しい、診察の手間がかかる
中間派
- 【長所】
- 両方の長所をとれる、スタンスとして無難、患者の意向を取り入れやすい、臨機応変
- 【短所】
- 中途半端、治療に迷い、患者に不安感、だらだら治療
ステロイド派
- 【長所】
- 症状のコントロールが容易、社会生活が一定度合可能、症状悪化の場合すぐに軽快
- 【短所】
- ステロイドの副作用の出現、切るとリバウンドが出現、症状の軽減、増悪の幅が大、症状の先鋭化、アトピーが重症化する傾向
当院では、脱ステロイド~中間派のスタンスにあると思います。
ステロイド外用薬の効果・特徴
薬効により強さの分類をされています。
- Strongest(最強)
- 一時的に顔や敏感な肌以外のところにちょっと使用します。
- Very strong(かなり強力)
- 上記同上
- Strong(強力)
- 体、手足などに比較的長期間、使えます
- Medium(中程度)
- 顔、首などにも使えます
- Weak(弱い)
- 目の周りなどにも使えます
これらの軟膏を、長期連用による局所の副作用に注意し、小児、高齢者、妊婦などでは慎重に使用します。年齢、疾患の重症度、部位に応じ使い分けます。顔、くび、わき、下半身では皮膚が薄く副作用を生じやすいので、効力の弱いものを用いたり、塗布回数を減らすなど工夫します。
治療後の注意点
副作用に注意する必要がありますので、使用上の注意を主治医からよく聞き、守ってください。
よくある質問
- ステロイド外用剤を一度使用するとやめられなくなりますか?
- そんなことはありません。一時的な使用で効果がでて、すぐやめれる病気はたくさんあります。かえってこれを怖がりだらだらとしていると悪化してしまうということも時にはあります。
- ステロイド外用剤を中止するとリバウンドが起こるのですか?
- 治療を適切に行い、ステロイドの強さ、量をコントロールしていれば起こることは少ないです。全員に起こることではありません。
- ステロイドを使用するとニキビができやすくなりますか?
- はいそうです。水虫やニキビを起こしやすくなります。いつもの症状と違うものがでたら主治医にご相談ください。使い方をご指導いたします。
- ステロイド外用剤を使用すると色が黒くなるとききましたが。
- それは違います。かえって放置して皮膚の炎症がひどく長期間に続いたあとが黒色化します。ステロイドを使いすぎた場合起こるのは血管が浮く、皮膚が薄くなるなどです。
- 妊娠中や授乳中にステロイドは使えますか?
- はい、外用剤は広範囲でなければ使えます。使わないでかゆみのあまり不眠というのもかえって赤ちゃんに悪影響を与える場合もあります。