じんましん

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じんましん

かゆみを伴う蚊に刺されたような発疹が全身にできる疾患です。即時型アレルギーとよばれるアレルギーで発症する場合とそうでない場合があります。ふくれた発疹は一個は24時間以内に消失しますが、ほかの部位に新たに発生することで診断ができます。ときにはアナフィラキシー反応とよばれる呼吸困難を伴う急激な反応を引き起こすことがあります。来院される頃には発疹が消えていることが多く、デジカメ、写メールでとってこられることが多いです。

特定の食物、薬剤で発症するものもありますが、原因のはっきりしないものも多いです。発汗や物理的刺激(寒冷、日光照射、温熱、負荷、圧迫、水との接触)により起こるものもあります。発症して一ヶ月以内のものを急性じんましん、それ以上経過したものを慢性じんましんとよびます。

慢性じんましんの原因のほとんどが、ストレスなどによる自律神経の乱れであるとされていて、自律神経の乱れを整えることが大切です。この場合体質改善のため漢方薬を併用するとより早く治ります。たとえば、産後慢性じんましんになられた女性の方に血のめぐりをよくし、水分代謝をよくする漢方を飲んでいただくと、治ったりします。

治療としては、まずは詳細な問診により、どのじんましんに該当するかを検討します。原因がはっきりしている場合では、原因物質や刺激を避けていただきます。増悪因子(ストレス・感染・暴飲暴食・不規則な生活)を避けていただきます。抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬の内服をしてもらったり、胃薬(これが効果的な場合も多いです)、体質改善の漢方薬を足したりします。症状が安定している場合は、二週間~一ヶ月に一度の通院を行っていただきます。慢性じんましんの場合落ち着くまでに数年かかることもあります。あせらずじっくり治療することが必要となります。そのほか特殊型として血管性浮腫、じんましん様血管炎などがあります。

慢性じんましんと自律神経の乱れ

慢性じんましんは「アレルギー反応」だけでなく、ストレスや自律神経の乱れが大きく関与している場合があります。
特に、長期にわたって薬を飲んでも良くならない方や、疲労・不眠・緊張状態が続く方に多く見られます。

スーパーライザー療法(星状神経節近傍照射)

特徴

  • 近赤外線を用いた光線治療器「スーパーライザー」を使用
  • 首にある「星状神経節(自律神経の重要な集まり)」付近に照射することで、交感神経の緊張を和らげる
  • 痛みや副作用が少なく、安全性の高い治療

効果

  • 自律神経のバランスを整え、ストレス性のじんましんを改善
  • かゆみや発疹の出現を抑える
  • 睡眠の質改善やリラックス効果も期待できる

治療の流れ

  • ベッドに横になり、首の前方にスーパーライザーを数分間照射
  • 治療は短時間で終了し、日常生活に支障はありません
  • 通常は週1〜2回程度の照射を継続することで効果が安定

当院の方針

慢性じんましんは「薬で抑える」だけでは限界がある場合があります。
当院では、抗ヒスタミン薬や注射治療に加えて、スーパーライザー療法を組み合わせることで、体質の改善と再発予防を目指しています。
「ストレスが症状を悪化させている」と感じる方には特におすすめです。

じんましんに対する注射療法

じんましんは、かゆみを伴う膨疹(みみず腫れ)が繰り返し出る病気です。
通常は抗ヒスタミン薬の内服でコントロールしますが、長引く・薬だけでは十分に効かないといった場合に、当院では注射療法を併用しています。

ノイロトロピン注射

特徴

  • ウサギの皮膚を利用して作られた非特異的免疫調整剤
  • アレルギー反応や炎症を鎮める作用があるとされています
  • 神経因性の痛みやアレルギー性疾患に幅広く使用

効果

  • じんましんのかゆみや発疹を軽減
  • 自律神経や免疫のバランスを整える働きも期待される

メリット

  • 比較的副作用が少なく、長期使用も可能

ヒスタグロビン注射

特徴

  • ヒト由来免疫グロブリンにヒスタミンを結合させた製剤
  • アレルギー反応に関与する抗体の働きを調整する

効果

  • 慢性じんましんに対して症状の改善効果が報告されている
  • 「薬を飲んでいても症状が出る」「長年繰り返す」といった方に有効なケースあり

メリット

  • 週1回程度の注射で、体質改善的な効果を期待できる

注意点

  • 即効性よりも、数回継続することで効果が安定してくるタイプの治療です
  • アレルギー体質や体調によって効果に差が出ることがあります
  • 妊娠中・授乳中の方はご相談ください

当院での考え方

じんましんは「アレルギーの一種」と思われがちですが、実際にはストレス・自律神経・免疫のアンバランスが関与することも多くあります。
そのため、当院では飲み薬+注射治療+生活指導(食事・睡眠など)を組み合わせ、体質そのものを改善する方向をめざしています。

慢性特発性じんましんに対するゾレア治療

慢性特発性じんましんとは

じんましんの中には、6週間以上持続し、原因が特定できないタイプがあります。
これを「慢性特発性じんましん」と呼び、抗ヒスタミン薬などの内服で抑えられないことも少なくありません。

ゾレア(オマリズマブ)とは

  • ゾレアは抗IgE抗体製剤と呼ばれる注射薬です。
  • アレルギー反応のカギを握るIgE抗体をブロックし、じんましんの発症を根本から抑える働きがあります。
  • 気管支喘息や花粉症に対しても使用実績があり、安全性が確立されている生物学的製剤です。

効果

  • 抗ヒスタミン薬で改善しなかった慢性じんましんに対して有効性が認められています。
  • 海外・国内の臨床試験でも、多くの患者さんでかゆみや発疹の大幅な改善が報告されています。
  • 効果は注射後数日〜数週間で現れることが多く、継続的に投与することで安定して症状をコントロールできます。

投与方法

  • 皮下注射(通常は月1回、症状により2回)
  • 外来で数分で終了します
  • 効果の持続期間は4週間程度が目安

注意点

  • 保険適応があるため、重症かつ抗ヒスタミン薬で効果不十分な慢性じんましんが対象
  • 妊娠中・授乳中は主治医と相談が必要
  • 注射部位の赤みや頭痛など軽度の副作用が出ることがあります

当院での方針

慢性特発性じんましんは「生活に支障をきたすほどかゆいのに、原因がわからない」ため、患者さんに大きな負担を与えます。
当院では、通常の飲み薬・注射治療でも効果が不十分な方に、ゾレアを用いた治療を提案しています。
症状の重さやライフスタイルに応じて、最適な治療スケジュールを一緒に考えていきます。

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